今日もどこかで
その人は、小高い山の上にある弘法大師縁の霊場に十数年間、毎朝5時にお参りするのが日課だったそうです。
それが何時頃から、一匹の白い犬が山裾から着いてきて、下山するまでの2時間を一緒に過ごすようになったそうです。名前は『シロ』。そして今度は黒い犬がついてくるようになりました。名前は『ワン太郎』。
シロもワン太郎のそれぞれ飼い主さんがおられます。
シロとの出会いから十年近くたった今年、シロが亡くなりました。
他家の子であるにも関わらず、毎朝、毎朝一緒に居てくれたシロに何か御礼をしたいと思われていた時、新聞を見てワンハート・ストーンを知り、制作を依頼されました。ワン太郎はまだ健在ですが、飼い主さんの許可を頂いて一緒に。
シロの飼い主さんは、設置日を知らなかったのですが、何か、気になったらしく山に
登ってきてトラックの荷台にいるシロの彫刻を見てそっくりなのでびっくりされたそう
です。そして隣海の見える桜の木陰でずっと涙を流しながら見つめておられたそうです。一緒に来たワン太郎は、シロの彫刻により添って離れなかったそうです。
この話しを聞いたテレビ局から、取材の申込みがあったのですが、断られたそうです。それを聞いて少し残念にも思いましたが、石碑に刻まれた言葉が、この方の想いの全てだと理解した時、『それで良かった』と思えました。石碑には
『見上げた瞳にどれだけ癒されたことか シロ、ワン太郎 本当にありがとう』
と刻まれています。
これまでいろんな事がありました。
何度も何度も挫折しそうになりましたが、でもいろんな人の優しさに触れて、支え
られて、今日まで来たんだと・・・・改めて出逢えた全ての人に御礼を言いたいです。
『気づかないうちに助けられてきた、
何度も何度も そしてこれからも
数え切れない 優しさに出逢ってきた・・・』
by小田和正~今日もどこかで~